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親がデイサービスを拒否する場合、どうすればいい?家族ができる対策法を解説

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自分の親がデイサービス利用していて、朝の送り出しで手間がかかり、困っていませんか?デイサービスは高齢者にとって生活の質を向上させ、家族の介護負担を軽減する重要なサービスです。しかし、「デイサービスなんて行きたくない」と親が拒否するケースも少なくありません。

自分は仕事があるのに、なかなか起きてくれなかったり、「行きたくない」と駄々をこねられたり、デイサービスを拒否されるのは、何かと大変ですよね?そこで、この記事を読むと

  • 親のデイサービスを拒否する理由がわかる
  • 家族が取り組む心構えや対策がわかる
  • デイサービスのメリットがわかる

「どうすればいいの〜!」と悩んでいるご家族の方に、私の体験からデイサービス拒否の方の対策法と家族が取り組むべき心構えについて、親がデイサービスを拒否する理由を探り、事例を紹介しながらその対策方法を具体的に解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

親がデイサービスを拒否する主な理由を知る

デイサービスを拒否する理由はさまざまですが、以下のような心理や状況が影響していることが多いです。まずご家族は、その理由を知ることから始めましょう。

自立心の維持

「自分のことは自分でできる」という自負が強い高齢者は、デイサービスを利用することで「自分は衰えている」と認めることになると感じ、抵抗する場合があります。自分でできることを他人に任せたくないという自立心が強い高齢者もいます。他の介護度が高い利用者と同じデイサービスを利用することで、自分のプライドが損なわれると感じることがあります。

環境の変化への不安

新しい場所や人間関係への不安が、デイサービスを拒否する理由になることがあります。特に認知症の症状がある場合、慣れない環境をストレスに感じやすいです。

 家族への依存

家族と過ごす時間を好み、デイサービスへ行くことで離れるのが嫌だと感じたり、自宅以外の場所での生活に抵抗を感じる高齢者もいます。プライバシーを重視し、一人でゆっくりしたいと感じ、他の利用者との交流を避けたいと考えることがあります。 

 誤解や偏見

「デイサービスは弱った人が行くところ」といったイメージが先行し、行くことを拒むケースもあります。毎日決まった時間のメニューが繰り広げられ、自由な時間が少ないと感じる利用者は、居心地悪い雰囲気で過ごすことがデイサービス拒否の一因となることがあります。 

デイサービスを拒否した場合の家族が取り組むべき心構え

デイサービスを拒否する親に対して家族がどのように対応するかは、とても重要です。無理に説得しようとすると関係が悪化する可能性があり、慎重かつ長期的な視点で取り組む必要があります。以下は、家族が持つべき心構えと具体的なアプローチです。

親の気持ちに寄り添う

拒否の背景には、不安や自尊心、プライドが隠れていることが多いです。そのため、まずは親の気持ちを理解し、受け止めることが大切です。デイサービスの拒否理由について話し合いましょう。親の不安を和らげ、デイサービスの利用に前向きになるよう支援します。無理に押し付けることは逆効果です。強制することで親のプライドを傷つけ、関係が悪化する恐れがあります。あくまで本人のペースを大切にしましょう。

  • よく話を聞く: 「どうして行きたくないの?」と優しく尋ね、理由を深く掘り下げる。
  • 否定しない: 「行かなきゃダメ!」と強制するのではなく、「そう感じるんだね」と受け入れる姿勢を見せる。
具体例:
「デイサービスは恥ずかしい」と感じている場合、「そう思うんだね。でも、他の人も同じ気持ちで最初は来てるみたいだよ」と共感しながら説明します。

焦らず時間をかける

デイサービスを受け入れるには時間が必要です。一度拒否されたからといって諦めず、少しずつステップを進める気持ちで取り組みましょう。

  • 短期的な成果を求めない: 1回で納得してもらうのは難しいと心得る。
  • 体験を提案: 「まず見学だけ行ってみない?」とハードルを低く設定。
具体例:
「実際にどんなところか見てみるだけでも大丈夫だから、一緒に行ってみようか」と誘い、安心感を与えましょう。

相手の自主性を尊重する

高齢者がデイサービスに対して拒否感を持つ背景には、「自分が無力だと思われたくない」という気持ちがある場合があります。そのため、本人の意志を尊重しつつ選択肢を提示するのが効果的です。

  • 選ばせる場面を作る: 「どの日がいい?」や「何曜日が空いてる?」と本人が決定できる機会を設ける。
  • 強制ではなく提案: 「行かなきゃ困る」ではなく、「こんな楽しそうな活動があるらしいよ」と情報を提供する。
具体例:
「来週、〇〇さん(親しい友人)も一緒に見学に行くんだって。ついでに行ってみない?」と自然な形で提案してみるのも良いです。

自分を責めない

親がデイサービスを拒否することで、家族が「自分の言い方が悪かったのでは」と責めてしまうケースもあります。しかし、これは親自身の気持ちや状況が大きく影響しています。自分を責めず、適度に距離を取りながら進めていきましょう。

  • すべての責任を背負わない: 親の選択にも責任があると考える。
  • 相談機関を活用: 地域包括支援センターやケアマネジャーにアドバイスを求める。
具体例:
「自分だけでは解決が難しいので、専門家に相談しよう」と気持ちを切り替え、頼れる人を増やすことが大事です。

小さな成功体験を重ねる

「行きたくない」という気持ちは、未知のものへの不安が原因であることが多いです。一度参加してみて「楽しかった」「居心地が良かった」という体験をすれば、拒否感が薄れる可能性があります。実際にデイサービスを見学し、施設の雰囲気やスタッフの対応を確認することで、親の不安を取り除くことができます。親のニーズにあったデイサービスを選ぶことも大事ですよね。

  • お試しの機会を作る: イベントや体験利用などに誘う。
  • ポジティブなフィードバックを与える: 「今日のことを〇〇さん(孫)にも話してあげたら?」など、成功体験を広げる。
具体例:
「今日はカラオケ大会があるらしいから、ちょっとだけ顔を出してみない?」と興味を引いてみるのも良いでしょう。

感情的にならない

親が拒否するとき、家族が感情的になってしまうと話が進みにくくなります。冷静で穏やかな態度を保つことが、信頼を築くポイントです。なので、いきなり毎日の利用を始めるのではなく、週に1回から始めるなど、徐々に慣れさせることが効果的といえます。

  • 否定的な言葉を避ける: 「行かないなんておかしい!」ではなく、「その気持ちもわかるよ」と肯定的な言葉を使う。
  • 感情の爆発を防ぐ: 怒りや悲しみを感じたら、一度深呼吸して冷静さを取り戻す。
具体例:
親が強い拒否を示した場合、「今日はこの話をやめて、また別の日に考えよう」と一旦引きます。

専門家を活用する

家族だけで解決しようとせず、介護の専門家や第三者の力を借りることも有効です。親が家族よりも専門家の意見を受け入れやすいケースもあります。

  • ケアマネジャーの同行: 見学や説明の場にケアマネジャーを同席させる。
  • 医療機関の助言: 医師や看護師から健康維持のためのアドバイスを伝えてもらう。
具体例:
「医師が勧めている運動プログラムがデイサービスで受けられるらしい」と、専門家の言葉を借りる。
<事例1>デイサービス利用者は、85歳の女性Aさん。
50代の娘さんと同居で、娘さんは仕事に出かけますが、要介護3の母親のAさんがなかなか起きてくれなくて、週5回のデイサービスに行くのを拒んでいました。デイサービスの職員が声掛けしても、かなりの時間がかかります。仕事に遅れることもあったと言われる娘さんは困っていました。

対策法

まず、母親のAさんがなぜデイサービスを拒否されるのか、よく話を聞くことが大事です。

このときは、娘さんも仕事が忙しく、お母様との意思の疎通がうまく行っておらず、認知症も発症していることから、デイサービスの職員が状況を説明してケアマネージャーに報告されました。その結果、朝のデイサービスの準備をサポートする訪問介護と、娘さんのリフレッシュも必要なのでショートステイを利用することになりました。

娘さんもお母様に寄り添いたいという気持ちはあったため、平日はデイサービスの準備を訪問介護にお願いし、土日はご家族でゆっくり過ごされ、介護保険サービスを利用しながらご自身も気持ちにゆとりが出てきた、と仰られました。

<事例2>デイサービス利用者は、79歳の男性Bさん
別居している実父(79歳)が、デイサービスに行きたがらなくて困っている近くに住む娘さん。プライドが高く、自由に生きてこられてデイサービスが気に入らない様子でした。実父さんと娘さんで、デイサービスを見学し初めは週2回のデイ生活を楽しんでいましたが、だんだん窮屈に思ったとのことで、途中で「面白くない」と行かなくなったそうです。家が近所で、食事などのお世話は娘さんがしていましたが、お風呂に入りたがらずご自分では入っていないということがわかり、お風呂はデイサービスにお願いしたそうです。

対策法

そこで、ケアマネージャーに相談し、実父さんの性格や趣味は将棋や麻雀ということがわかり、ケアマネージャーから別の趣味特化型のデイサービスを紹介されて、デイサービスを替えました。

同じ仲間の方ができて、今は楽しんで行かれるようになったそうです。今では、デイサービスの種類も増えて、リハビリ特化型趣味特化型認知症特化型小規模デイ(地域密着型通所介護)などがあり、いろんな選択肢があります。

デイサービスに行かれる方の特性を活かして、その方に合ったデイサービスライフを楽しんでいただくことが大切です。

デイサービスを利用するメリットを伝える

デイサービスには、高齢者本人と家族にとって多くのメリットがあります。ただ「行ったほうがいい」と説得するだけでなく、具体的な利点を説明することで、本人の納得や安心感につながりやすくなります。

健康維持と身体機能の改善

デイサービス(デイケア)では、理学療法士や作業療法士が指導するリハビリや運動プログラムが提供されています。これにより、高齢者は以下のような効果を得られます。

筋力の維持・向上: 転倒防止や日常生活の自立を支える。
柔軟性の向上: 関節の硬化を防ぎ、動きやすい体を保つ。
認知機能の活性化: ゲームやクイズ形式の活動を通じて、脳の働きを刺激。

具体例
「足腰が弱くなってきたから、デイサービス(デイケア)のリハビリで少しずつ歩く練習をしたい」という目標を設定することで、モチベーションが高まります。

社会交流の機会

デイサービスは同年代の利用者が集まり、会話や共同作業を通じて人とのつながりを感じられる場です。孤独感が軽減し、気分の安定につながります。

新しい友達との出会い: 共通の趣味や話題で盛り上がる。
集団での活動: カラオケ、手芸、料理教室などのプログラムで楽しみながら交流。

具体例
「カラオケ大会で昔懐かしい歌を歌ってきたよ」といった話題を持ち帰り、家族とのコミュニケーションのきっかけになることもあります。
ごえみん
ごえみん

利用者さんと一緒に、私も歌って楽しみました!

認知症予防や進行の抑制

認知症予防に特化したプログラムを提供するデイサービスもあります。以下のような活動が認知症予防に効果的です。

脳トレーニング:数字合わせ、パズル、記憶ゲーム。
役割を持たせる:花壇の手入れや簡単な作業を通じて達成感を感じられる。

具体例
「今日は花の苗を植えたよ」といった達成感を共有し、自己肯定感を高めることができます。

食事や生活支援の提供

デイサービスでは栄養バランスのとれた食事が提供されます。個々の健康状態や嗜好に合わせたメニューが準備されており、食事を楽しむだけでなく健康管理にも役立ちます。

栄養の確保:一人暮らしや偏食が多い方でも安心。
食事を囲む楽しさ: みんなで食べることで食欲が増進。

具体例
「おいしいお弁当が出るらしいから行ってみたい」というきっかけになることもあります。

家族の負担軽減

家族が介護から一時的に解放されることで、心身の負担を軽減し、リフレッシュの時間を持つことができます。特に仕事と介護を両立する家族にとって、デイサービスは大きな助けとなります。

息抜きの時間:趣味や休息の時間を確保。
介護の質向上:家族の心に余裕が生まれ、より優しい接し方ができるようになる。

具体例
「今日は安心してお任せできるから、自分の用事を済ませよう」といった形で、家族のストレスが軽減されます。

日々の生活リズムの改善

デイサービスは決まった時間に迎えが来て、一定のスケジュールで活動が行われます。この規則正しい生活リズムが、高齢者に良い影響を与えます。

朝起きる習慣:生活のだらしなさを防ぎ、昼夜逆転を改善。
適度な運動:体を動かすことで夜ぐっすり眠れるようになる。

具体例
「毎週〇曜日はデイサービスの日」といった習慣ができることで、生活に張りが生まれます。
ごえみん
ごえみん

カレンダーに印を付けておくのも良いですね。

デイサービスを利用することは、親本人だけでなく家族全体の生活の質を向上させる大きなメリットがあります。メリットをしっかり伝え、少しずつ理解してもらいましょう。

まとめ:親がデイサービスを拒否した場合の対策法

そもそも介護保険サービスの一環であるデイサービスは、利用者の生活の質を向上させることはもちろんですが、家族や介護者の負担を軽減するためでもあります。

デイサービスの利用を拒否されたとき、家族がすべきことは無理に説得するのではなく、親の気持ちに寄り添い、時間をかけて少しずつ受け入れてもらうことです。そして、家族自身も適度に息抜きをしながら、専門家の力を借りるなどして対応しましょう。拒否されても焦らず、柔軟に進めることが成功の鍵と心得ましょう。ご家族のこれからの介護ライフをいつも応援しています!

 

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