訪問介護では、生活援助の中に「調理」の支援があります。利用者様のご自宅にある、食材を使い食事の準備を行います。しかし、限られた訪問時間内で「今日は何を作ろう・・・」と悩みますよね?
制限時間のなか、利用者の好みや栄養バランスを考え、効率的な料理を作るというのは、多くのヘルパーにとっての課題でもあります。そこで、この記事を読むと、
- 訪問介護における時短料理のコツがわかる
- 訪問時間内に手際よく料理を終える方法がわかる
- 他の支援との時間配分がわかる
これらを解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
訪問介護における時短料理のコツ
訪問介護における時短料理のコツは、「事前の準備」と「簡単レシピ」の活用です。事前にレシピを準備し、必要な食材や調味料をリストアップしておくことで、調理の時間を短縮できます。また、簡単で美味しいレシピを知っておくことは、訪問介護において非常に重要です。
事前の準備
献立を決め、食材の準備をする
まず、利用者様の希望を聞き、冷蔵庫内の食材や調味料を取り出し、組み合わせでできる献立を考えます。
食材の下ごしらえをする
食材を洗ったり、皮を剥いたり、適切な大きさにカットします。下味が必要であれば、ここで行います。野菜を切ったり、調味料を用意したりすることで、調理時間を短縮できます。
シンプルなレシピ
複雑なレシピよりもシンプルなものを選ぶと、調理時間が短縮されます。具材を少なくして、調味料もシンプルにすることを心掛けましょう。
<具材例>
・鶏肉(唐揚げ、親子丼、照り焼きなど)
・牛肉(肉じゃが、肉ごぼう、牛丼など)
・魚(塩焼き、煮魚、ムニエルなど)
・豆腐(冷奴、麻婆豆腐、肉豆腐など)
これらの素材によって自分の得意メニューを決めておくのも有効です。
調理器具の活用
電子レンジやオーブントースター、利用者様のお宅にあればフードプロセッサーなどの調理器具を活用して、手間を省きましょう。
一品で済ませる
主菜と副菜を別々に作るのではなく、一品で済ませるレシピを選ぶと効率的です。例えば、具だくさんの煮物や炒め物は一品で栄養バランスを取りながら時短できます。
作り置き
余裕があるときに多めに作り、冷凍保存しておくと便利です。訪問介護の際には温めて提供できます。野菜は切り揃えたり、下処理して冷凍することをおすすめします。
簡単レシピの活用
訪問介護では、利用者さんの体調や好みに合わせて栄養バランスを考慮しながら料理を提供する必要があります。以下に、時短でヘルシーな料理のポイントをいくつか紹介します。
基本の献立
訪問介護の食事は、ご飯・お味噌汁・小鉢(野菜中心)をセットにし、そこにメインのおかずを足すのが一般的です。肉と野菜でワンセット。一汁三菜を心がけましょう。
お浸しや煮物は、その都度作るのが大変なので、一度に数回分作り、小分けにして冷凍保存するのも良いアイデアです。
食材の切り方を工夫する
一度に複数の料理を作る場合、野菜の切り方をメニューに合わせて変えてみましょう。例えば、玉ねぎをみじん切り・薄切り・角切りに一度に切っておくと、調理がスムーズに進みます。訪問介護の時間は限られているため、食材を小さめに切ることで調理時間を短縮できます。
味付けに気を付ける
利用者さんの体調や病状に合った味付けを心掛けましょう。薄味に仕上げることが多いですが、食材自体の味を生かした調理法を考えると良いです。甘みのある野菜を砂糖代わりに使ったり、食材を煮込むことで味が染み込みます。
大きさや固さを調整する
訪問介護の場合、時間が限られているため、食材を小さ目に切ることで調理時間を短縮できます。 利用者さんに合った固さにも臨機応変に対応しましょう。
見た目も大切に
彩りが良ければ美味しそうに感じ、食欲を刺激します。野菜の色を活かして彩り豊かな献立を考えてみてください。
★トマトとふわふわ卵のマヨソテー★
ざく切りにしたトマト1個とマヨネーズ大さじ1を溶いた卵1個分を用意し、フライパンでマヨネーズ入れたフライパンに溶いた卵を半熟状にし、トマトを入れて塩で味を整えます。最後に黒こしょうを振って出来上がり。
訪問時間内に手際よく料理を終える方法
訪問時間内に手際よく料理を終えるためには、「効率的な調理法」と「作業の順序」を考えることが大切です。
効率的な調理法
効率的な調理法を考え、料理の基本をマスターしよう!
え?今更ですか?と思いでしょうが、料理の基本でよく使う食材の基本的な調理法をマスターしておくと、さまざまなレシピに応用できます。確認しましょう!
基本的な調理法とは、煮る・蒸す・炒める・焼く・揚げるといった調理方法がありますが、食材を活かす方法はそれぞれです。
煮る
食材を水やだし汁、酒、醤油などの液体で加熱し、柔らかくなるまで火を通す調理法です。煮物やシチュー、おでんなどがこの方法で調理されます。食材の旨味や栄養素が液体に溶け出し、食材に味が染み込みます。
蒸す
食材を直接火を通さず、水蒸気の熱で調理する方法です。蒸し器や鍋の蓋を使って行います。栄養素を逃さずに調理でき、ヘルシーな料理に適しています。魚や野菜を蒸すことが一般的です。
炒める
フライパンや鍋で油を熱し、食材を高温で短時間加熱する調理法です。食材の表面に焼き色が付き、旨味が増します。野菜炒めやチャーハンなどが該当します
焼く
オーブンやグリル、フライパンなどで食材に直接熱を加えて調理する方法です。焼き色が付き、香ばしい風味が生まれます。ステーキや焼き魚が代表的です。
揚げる
高温の油で食材を加熱し、カリッとした食感に仕上げる調理法です。揚げ物は200℃近くの油で調理され、中までしっかり火を通しながら加熱時間を短縮できます。天ぷらやフライドチキンが好例です。今では、冷凍食品も充実していますので活用しましょう!
作業の順序を考える
料理の効率的な手順を考えることは、美味しい料理を素早く仕上げるために重要ですね。作業の順序を整理する際には、以下のステップを考慮すると良いので、チェックしてくださいね。
目標を立てる
まず、料理の目的や目標を明確にしましょう。どのような料理を作りたいのか、どれくらいの時間で仕上げる必要があるのかを考えます。利用者さまの状態を把握して、ケアプランに沿って作業内容を組み立てます。この中には、「利用者さまと一緒に調理を行う」などの計画内容があったりしますので、注意が必要です。
材料の準備
材料を切ったり、下ごしらえしたりする作業を先に行います。食材の種類によっては、同時に複数の材料を準備することもあります。
調理器具の選定
使用する調理器具(鍋、フライパン、オーブンなど)を選び、予熱や油の加熱を始めます。野菜カットも、スライサーやピーラーもフル活用していました。
調理の順序
一般的な調理の順序は、基本的な調理法を活用。まず、時間のかかる煮る、茹でるなどの作業から進めましょう。私はほぼ電子レンジを活用していました。
同時進行
複数の調理作業を同時に進めることで、時間を節約できます。例えば、煮物を作る場合は、他の一品の準備をしながら煮込むことができます。基本、ながら作業です。同時進行は当たり前と心得て!
仕上げ
最後に盛り付けや味見を行い、調味料を調整します。味付けは、好みがありますし、塩分控えめの方もいらっしゃるので、利用者さまに味見していただくのが一番だと思います。
これらの手順を意識して、料理を効率的に進めてくださいね。
訪問時間内に他の支援が必要な場合、手際よく終了する方法
1回の訪問時に料理や掃除など、家事を組み合わせたり時間がかかる場合は、大体60分以内としている事業所が多いようです。
なので、60分の生活援助で調理+掃除(1箇所:リビングやトイレ)が訪問介護計画書に組み込まれた場合、時間配分に悩みますよね?
自分でアラーム設定して、いざ調理!ここで時短料理が活きてきます。初めて訪問するお宅は、調理器具や調味料の置かれている場所の把握から始まるので、覚えるまでが大変です。
調理といえど、ただ料理を作って盛り付けるだけではありません。その後の片付け、生ゴミの処理・排水口の掃除なども時間内に含まれています。また、先ほども申し上げたように、訪問介護計画書(ケアプラン)の中には「利用者さまと一緒に調理を行う」などの計画内容が合った場合、声かけ・見守りながら利用者さまに材料を切っていただいたりして、様々な支援があるので、手際よく行う必要があります。
さらに、トイレなどの掃除もケアプランの内容に入っていたら、その時間も必要なので段取りは必須です。
まとめ
訪問介護における時短料理は、サービス提供時間内に終了しなければならず、作業工程の段取りを手際よく進める必要があります。
- 事前準備と簡単レシピの活用
- 効率的な調理法を身につける
- 時間配分を考える
そうすることで、訪問時間内に美味しく、栄養バランスの取れた食事を提供することが可能になります。今回ご紹介した訪問介護における時短料理のポイントを活用して、訪問介護の食事準備をもっと効率的に行いましょう!
私も、ヘルパーを経験しての一番のスキルは、時短料理の取得とタイパを意識した生活です。時間をいかに有効活用するかにこだわることで、人生観も変わりました。今後も、あなたのヘルパーのお仕事を応援しています!
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