「入浴介助にシャワーチェアを使いたいけど、レンタルできないって本当?」
「もし購入するなら、どうやって選べばいいの?費用はどれくらいかかる?」
介護が必要な方にとって、安全で快適な入浴は何よりも大切です。そのための心強い味方となるのが「介護用シャワーチェア」。しかし、他の多くの介護用品と違い、「シャワーチェアはレンタルできない」と聞いて、戸惑う方も少なくないでしょう。
この記事では、そんな疑問を解消するために、以下の内容を詳しく解説していきます。
- なぜ介護用シャワーチェアはレンタルできないのか、その明確な理由
- 介護用シャワーチェアをお得に、そして賢く購入する方法
- 利用者に最適な介護用シャワーチェアを選ぶための重要なポイント
さらに、介護保険を利用して購入費用を抑える具体的な方法や、その他の負担軽減策についても、事例を交えながら分かりやすくご紹介します。ぜひ、あなたにぴったりのシャワーチェア選びの参考にしてください。
なぜ?介護用シャワーチェアがレンタルできない3つの主な理由
多くの福祉用具がレンタル可能な中で、なぜ介護用シャワーチェアは原則としてレンタルできないのでしょうか。その背景には、主に以下の3つの理由があります。
衛生管理の難しさ
介護用シャワーチェアは浴室という常に湿気が多く、水分にさらされる環境で使用されます。そのため、丁寧に使用してもカビや雑菌が繁殖しやすい特性があります。また、シャワーチェアは利用者の肌に直接触れる部分が多いため、特に衛生面での徹底した管理が求められます。

レンタルで複数の人が使用すると、衛生管理が非常に困難になりますよね。
レンタル品として複数の人が利用する場合、その都度、完璧な洗浄・消毒を行う必要がありますが、これには相応のコストと手間がかかります。現実的に、事業者が毎回これを実施するのは大きな負担となり、利用者側も衛生面での不安を感じやすいことから、レンタルには不向きとされています。
事例:佐藤さん(80歳・女性・要支援2)のケース
2年前に腰を痛めて以来、浴室での立ち座りに不安を感じていた佐藤さん(仮名)。安全な入浴のために介護用シャワーチェアの利用を考えましたが、ケアマネジャーから衛生面での懸念を聞き、レンタルではなく購入を選びました。「やはり、他の人が使ったものを浴室で使うのは少し抵抗がありますね」と佐藤さんは語っています。

このように、トイレ用品や入浴用品など、直接肌に触れる福祉用具はレンタル対象外となるケースが多いことを覚えておきましょう。
レンタル品の維持管理コストの高さ
介護用シャワーチェアは、他の福祉用具と比較して、水濡れや洗剤の使用など過酷な環境に置かれるため、素材の劣化が進みやすい傾向があります。毎日使用することを考えると、その消耗は避けられません。
レンタル事業者の立場からすると、頻繁なメンテナンスや部品交換、消毒作業が必要となり、維持管理にかかるコストが他の福祉用具よりも高くなってしまいます。これも、シャワーチェアのレンタルサービスが一般的ではない理由の一つです。
購入費用が比較的安価であること
介護用シャワーチェアは、数千円から購入できる製品も多く、介護用ベッドや高機能な車いすといった他の高額な福祉用具と比較すると、比較的安価です。そのため、長期間利用することを考えれば、レンタルで継続的に費用を支払うよりも、購入した方が結果的に経済的負担が少ない場合がほとんどです。この費用対効果の観点からも、シャワーチェアは購入が主流となっています。
介護用シャワーチェアの購入方法:どこでどう買うのがベスト?
介護用シャワーチェアがレンタルできないとなると、購入を検討することになります。では、具体的にどこで、どのように購入すれば良いのでしょうか。主な購入方法とそれぞれの特徴、注意点を見ていきましょう。
福祉用具専門店での購入
- メリット: 専門知識を持つスタッフに相談しながら、実際に商品を手に取って試すことができます。座面の高さや幅、素材の感触、安定性などを直接確認できるのは大きな利点です。利用者の体型や浴室の状況に合わせて最適な製品を提案してもらえます。
- デメリット: 他の購入方法と比較して、価格がやや高めになる場合があります。
インターネット通販での購入
- メリット: Amazonや楽天市場、介護用品専門のオンラインショップなど、非常に多くの選択肢の中から、価格や機能を比較検討できます。利用者のレビューも参考にできるため、情報収集がしやすいでしょう。自宅にいながら手軽に購入できるのも魅力です。
- デメリット: 実物を直接確認できないため、サイズ感や座り心地がイメージと異なる可能性があります。購入前に、返品や交換の条件をしっかり確認しておくことが大切です。
ホームセンターでの購入
- メリット: 日用品の買い物ついでに立ち寄れ、手軽に商品を見ることができます。
- デメリット: 福祉用具専門店ほど品揃えが豊富でない場合や、専門知識を持つスタッフが少ない可能性があります。また、介護保険を利用した購入(後述)を考えている場合、その店舗が「特定福祉用具販売」の指定を受けているか確認が必要です。
失敗しない!介護用シャワーチェア選び3つのポイント
いざシャワーチェアを購入するとなっても、種類が多くて迷ってしまいますよね。ここでは、利用者の安全と快適な入浴のために、チェックすべき3つの重要なポイントをご紹介します。
安全性と安定性:滑りにくさ、ぐらつきのなさ
最も優先すべきは安全性です。以下の点を確認しましょう。
- 脚の先端: 滑り止め効果の高いゴムキャップなどが付いているか。浴室の床は滑りやすいため、しっかりと固定できるものが重要です。
- 全体の安定感: 体重をかけたときにぐらつかないか、フレームは頑丈か。
- 座面の素材: 水に濡れても滑りにくい素材か、水はけが良いか。

JISマークが付いている製品は、一定の安全基準を満たしているので、選ぶ際の目安の一つになります。
利用者の身体状況に合わせたサイズと機能:高さ、幅、付加機能
シャワーチェアは、利用者の体型や身体機能、そして浴室の広さに合ったものを選ぶことが大切です。
- 高さ調整機能: 利用者が楽に立ち座りできる高さに調整できるか。介助者の負担軽減にもつながります。
- 座面の幅・奥行き: 利用者の体格に合っているか。広すぎても姿勢が不安定になり、狭すぎても窮屈です。
- 背もたれの有無・形状: 背もたれがあると、座位が安定しやすく、リラックスして入浴できます。
- アームレスト(肘掛け)の有無: 立ち座りの際の支えになります。跳ね上げ式や取り外し可能なタイプもあります。
- 座面回転機能: 座面が回転することで、浴槽への出入りがスムーズになるタイプもあります。
快適性:クッション性、背もたれの有無、その他の便利機能
長時間座る場合や、お尻や背中に痛みがある方にとっては、座り心地も重要です。
- クッション性: 座面にクッションが付いていると、体への負担が軽減されます。取り外して洗えるタイプだと衛生的です。
- 背もたれの素材: 冷たさを感じにくい素材や、体にフィットする形状のものを選ぶと快適です。
- 折りたたみ機能: 使用しないときにコンパクトに収納したい場合は、折りたたみ可能なタイプが便利です。

実際に福祉用具専門店の店頭で試してみたり、ケアマネジャーや専門家に相談したりしながら、利用者に最適な一台を見つけましょう。
賢く購入!介護保険でシャワーチェアの費用負担を軽減する方法
介護用シャワーチェアの購入には、介護保険の「特定福祉用具購入費の支給」という制度を利用できる場合があります。これにより、購入費用の一部が支給され、自己負担を抑えることができます。
制度の概要
- 対象者: 要支援1・2、または要介護1~5の認定を受けている方。
- 対象品目: 入浴補助用具(シャワーチェア、浴槽台、入浴用介助ベルトなど)、ポータブルトイレなど。
- 支給上限額: 同一年度内(4月1日から翌年3月31日まで)で購入費用10万円(税込)まで。
- 利用者負担割合: 原則として購入費用の1割(所得に応じて2割または3割になる場合もあります)。つまり、最大9割が保険から給付されます。
申請手続きの流れ(償還払いの場合)
多くの自治体では、いったん利用者が購入費用を全額支払い、その後申請して給付を受ける「償還払い」という方式が取られています。
- ケアマネジャーに相談: まずは担当のケアマネジャーにシャワーチェアが必要であることを相談します。ケアマネジャーは、その必要性を判断し、介護保険の対象となるか、どのような手続きが必要かなどをアドバイスしてくれます。
- 指定事業者から購入: ケアプランに基づき、都道府県の指定を受けた「特定福祉用具販売事業者」からシャワーチェアを購入します。この際、領収書や商品のパンフレットなどを必ず保管しておきましょう。
- 市区町村へ支給申請: 購入後、必要な書類(申請書、領収書、商品の概要がわかる書類、ケアマネジャーの意見書など)を揃えて、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に提出します。
- 審査・支給決定: 申請内容が審査され、適切と認められると、購入費用の一部(自己負担分を除いた額)が指定した口座に振り込まれます。
事例:佐藤さんの場合(介護保険利用)
前述の佐藤さんは、ケアマネジャーに相談し、介護保険を利用してシャワーチェアを購入することにしました。14,700円のシャワーチェアを選び、いったん全額を支払いましたが、約2ヶ月後に申請が通り、自己負担分の1割(1,470円)を除いた13,230円が戻ってきました。
【注意点】
- 購入前にケアマネジャーに相談し、介護保険の対象となるか、手続きについて必ず確認しましょう。
- 自治体によっては、事前に申請が必要な場合(受領委任払い方式など)もあります。
- 年間支給上限額(10万円)を超えた分は全額自己負担となります。
介護保険対象外でも諦めない!シャワーチェアをお得に購入するヒント
介護保険の対象とならない場合や、さらに費用を抑えたいという方のために、いくつかお得に購入するためのヒントをご紹介します。
自治体独自の補助金制度を確認する
お住まいの市区町村によっては、介護保険とは別に、高齢者向けの福祉用具購入に対する独自の補助金制度を設けている場合があります。福祉課や高齢者支援課などに問い合わせてみましょう。
福祉用具のアウトレット品やリユース品を検討する
落ち品などのアウトレット商品、あるいは整備済みのリユース品(中古品)を扱っていることがあります。新品同様でありながら割安で購入できる可能性がありますが、品質や保証内容をしっかり確認することが大切です。

アウトレット商品は品質が保証されていることが多いので、経済的な選択肢として検討する価値がありますよ。
インターネットで価格を比較し、セールやキャンペーンを活用する
複数のオンラインショップで価格や機能を比較検討することで、より安価な製品を見つけられる可能性があります。また、定期的に開催されるセールやポイントアップキャンペーンなどを利用するのも賢い方法です。
まとめ:シャワーチェアは購入が基本。最適な一台で安心・安全な入浴を
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