高齢者の方と同居しているご家族で、最近食事中によくむせたり、咳き込んだりしているなぁ・・・と気になることはありませんか?もしかして飲み込む力が弱くなったりして、誤嚥する可能性があるかもしれません。そんな悩みを抱えているご家族の方に、この記事を読むと
- 高齢者のむせる原因がわかる
- 高齢者のむせるのを予防する方法がわかる
- 高齢者のむせるのを見逃すとどうなるのかがわかる
ということになります。この記事では、高齢者のむせるを見逃さず、誤嚥予防の対策を私が実際経験したことを交えて、予防するための具体的な方法をご紹介します。ぜひご参考にしてくださいね。
高齢者がむせる原因は何?
「むせる」とは、水分や食物が誤って気道に入ってしまった場合、それらを外に追い出そうとするときに起こる反応を指します。気道に水分や食物が入ると誤嚥性肺炎になることもあるため、むせるのは一種の防御反応だと言えます。
高齢者の、お餅を喉に詰まらせる案件が毎年報告されますが、これも飲み込む力(嚥下力)の低下が原因の場合が多いのです。
若い世代でもむせることはありますが、高齢者のむせる原因は、加齢に伴って筋肉の衰えや唾液の量の減少、または、うつ病や認知症などが起因して起こるため、注意が必要です。むせや咳込みが続く場合は、嚥下(飲み込む)機能が低下している可能性が高いと考えられます。例えば、
- お茶や汁物を飲むときよくむせる
- 食事の飲み込むタイミングが合わなくてむせる
- 噛み合わせが悪い
- 食事の時間が長くなった
このような症状がある方は、食事の工夫や体操を行いながら、むせないように予防しましょう。
高齢者のむせるのを予防する方法
むせが続いて嚥下機能低下により、誤嚥しないように日頃の様子観察が必要です。
誤嚥とは、食べ物や飲み物が気管に入ってしまうことです。通常、嚥下時には喉の筋肉が協調して働き、食道へと食べ物を導きます。しかし、この機能が衰えると、食べ物が誤って気管に入り、咳や窒息を引き起こすことがあるので注意が必要です。
それでは、高齢者のむせるのを予防するためのポイントをお伝えします。
高齢者の食事時の姿勢を整える
まず、行うのは食事をする姿勢が大事です。テーブル席の場合、姿勢が安定するようにかかとがしっかりと床につく椅子と肘を乗せたら90度になるくらいのテーブルの高さが必要です。
高齢者のむせにくい食事を提供する
高齢者にとって、食事は日々の楽しみの一つです。口から食べられることはとても大事なことなのです。なので、食事中のむせを予防するためには、食事形態を見直したり、飲み込みにくい食品を避けることが重要になってきます。
食事形態とは、一般食より柔らくしたり、一口大に切ったり、刻んだり、ペースト状にしたりすることです。主食のご飯も、二度炊きやおかゆ、全粥にと変えます。高齢者の状態に合わせて食事のセッティングが異なります。
飲み込みにくい食品とは、きゅうり・せんべいなどの「パラパラ」した食品、餅・だんごなどの「ベタベタ」した食べ物、魚や鶏肉のささみなどの「パサパサ」した食材です。このような食材をそのままの状態で提供するのは避けたいですね。コーンスターチやゼリーなどを加えて整える工夫が必要です。
また、水・お茶などの「サラサラ」した液体もむせるので注意が必要です。これは、わりと早い段階で嚥下状態が低下しているな、と気づくので、とろみ剤を使用することをオススメします。お茶はむせる代表格ですので、必ず様子を見てくださいね。
高齢者の口腔体操をする
自宅で高齢者と食事する機会があれば、口腔体操(お口や上肢の体操)を食事前に少しだけでも良いので行ってください。私も実際、施設でお昼の食事の時間前に利用者の前に立って、みなさんと行った口腔体操です。ぜひ、ご家庭でも取り入れてみてください。
①肩の運動 まず、肩の運動です。両肩を上げるとき息を吸って、下げるときはぁ〜っと息を吐いて3回ゆっくり行います。
②首の運動 次は、頭を上・下と右向き・左向き、右と左に傾く動作を3回ずつ行い、最後に無理のない程度にぐるりと首を回します。
③お口の運動 口を閉じて「あっぷっぷ」のように頬を膨らませます。その後、梅干しを食べた後のように酸っぱい顔で頬をすぼめます。最後に両手で頬を挟んでくるくるとマッサージします。
④舌の運動 口を大きく開けて「あっかんべー」と舌を出します。そのまま舌を出したまま右、左と動かします。最後にお口の周りを舌で一周舐めます。
⑤声の運動 発声練習をします。声を出すことも重要です。「ぱたから」体操と言って唾液腺を刺激します。「ぱぱぱ、たたた、かかか、ららら」とリズムに合わせて3回大きな声で言います。特に「ら・ら・ら」は、舌を巻いた状態で「ら」といって舌の筋肉を使う感じで発声します。
ここまで来るとだいぶ唾液が出てきたと思います。お口に唾液が溜まったら、一度ごっくんと飲み込みます。最後は、深呼吸して終了します。
高齢者のむせるのを見逃すリスクとは?
高齢者のむせるのを見逃すと、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性が高くなります。誤嚥(食べ物や飲み物が気道に入ること)が起こると、嚥下機能が低下している高齢者は、唾液や飲食物に含まれる細菌が侵入して肺炎(誤嚥性肺炎)を起こすことがあります。
ショートステイ利用の高齢者の女性Aさん(87歳)は、ご家族から最近食事中によくむせるという報告を受けていました。軽度のアルツハイマー型認知症で体の不調をあまり訴えられません。
昼食は施設で、ご飯は二度炊き、副菜は刻み食、汁物にはとろみを付けて提供。ご自身で食べられますが様子を見ると、食事が進みません。声かけ手を握ると熱感がありました。直ちに近くにいた看護師に報告し、体温を測ると37.8度あり、ご家族に報告。医療機関に受診していただきました。その結果、誤嚥性肺炎の疑いがあると診断され一時観察入院されました。
このように、高齢者のむせを放っておくと誤嚥性肺炎を起こしてしまう原因となります。高齢者の肺炎で多いのが誤嚥性肺炎で、死亡のリスクも高くなっています。
なので、むせるのは誤嚥のサインと捉えて見逃さずに対応することが大事ですね。
まとめ:高齢者のむせるのを見逃さないで!
日頃何気ない食事の風景でも、高齢者にとっては口から摂る食事というものがとても大事となります。お茶や食べ物でちょっとしたむせる行為が出たら要注意です。
高齢者のむせるのを予防するには、
- 食事の姿勢を正し、
- むせにくい食事の形態を工夫して、
- 食事前に口腔体操を行って、
飲み込みの嚥下力をキープすることが大切です。放っておくと誤嚥性肺炎を起こす引き金となりますので、その前の予防が大事なんです。
ご家族や介護者の方々が高齢者のむせるのを理解し、日々の生活に予防の方法を取り入れることで、高齢者の誤嚥リスクを減らし、健康を維持する手助けができます。もし更に詳しい情報やサポートが必要であれば、専門の医療機関に相談することをオススメします。
どうぞ安全で楽しい食事の時間をお過ごしください。いつでも、あなたを応援しています!
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